怪談の歴史

820

『日本霊異記』

景戒(きょうかい)が編んだ日本最古の仏教説話集。正式名称は『日本国現報善悪霊異記』。

明確に怪談と呼べるものではないが怪異譚が多く収録されている。

1130

『今昔物語集』

天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)の3部から成る全31巻の説話集。

芥川龍之介の著作の題材としても知られる。

1532-1555

御伽衆(『大内氏実録』より)

御伽衆・・・将軍や大名の遊び相手および話し相手。

御伽衆の語りが百物語の原型という説もあり、近藤清石著の『大内氏実録』志第一の章に御伽衆、御雑談といった表現が見つかる。

1666

『伽婢子(おとぎぼうこ)』

浅井了意作。中国の志怪小説や朝鮮の怪奇譚を翻案した仮名草子。

1685

『西鶴諸国ばなし』

諸国の怪談奇談を35話収録した井原西鶴による浮世草子。

1742

『老媼茶話』

播州姫路城という項に、十四歳の少年がぼんぼりを手に姫路城の七階へ行き十二単姿の女性の霊と出会ったといった描写が見つかる(長壁姫(おさかべひめ)について記載がある)。

1776

『雨月物語』『画図百鬼夜行』

『雨月物語』・・・上田秋成によって江戸時代後期に書かれた読本(よみほん)。

夫婦に纏わる怪奇譚を描いた浅茅が宿(あさじがやど)や蛇性の婬といった怪奇譚が収録されている。

『画図百鬼夜行』・・・江戸中期の浮世絵師鳥山石燕による妖怪絵図。船幽霊や刑部姫など、日本各地の怪談に着想を得て描かれた妖怪が多く掲載されている。

1784

『耳嚢(みみぶくろ)』

根岸鎮衛(しずもり/やすもり)が30年に渡り採集した巷説、奇談の随筆集。

1825

『東海道四谷怪談』

四代目鶴屋南北によって書き下ろされ1825年7月に中村座で初演された。

「ひゅうどろどろ」という下座音楽(げざおんがく)は歌舞伎がルーツであると言われている。

1831

『百物語』

『番町皿屋敷』のお菊を描いた『さらやしき』や『お岩さん』などで知られる、葛飾北斎による中判錦絵。

1861

『怪談牡丹燈籠』

『真景累ヶ淵』『乳房榎』『死神』など怪談噺の落語を多く手掛けた初代三遊亭円朝による創作怪談。

中国の志怪小説や朝鮮の怪奇譚を翻案した仮名草子『伽婢子(おとぎぼうこ)』に浅井了意翻案の『牡丹燈籠』が収録されており、そこから着想を得たとされている。

1904

『怪談』

妻・節子から聞いた日本各地の伝承および幽霊話を、ギリシャ生まれのイギリス人ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が再話。小泉八雲は島根、熊本の学校で英語教師を務め、日本の英語教育に尽力した。

1910

『遠野物語』

岩手県遠野出身の話者・佐々木喜善(ささききぜん)の語る民話、伝承を民俗学者・柳田国男が文語体で記録および編纂。

1912-1926

泉鏡花の怪談会

大正年間、泉鏡花を中心に名だたる作家達が怪談会を催したとされる。

1976

稲川淳二

ニッポン放送のラジオ番組『オールナイトニッポン』にて怪談を披露するようになり、怪談師という肩書きが成立。

1990

『学校の怪談』

1990年11月08日に『学校の怪談』1巻が発売される(著/常光徹、絵/楢喜八)。

1992

白石加代子の『百物語』

1992年6月に岩波ホール(東京都千代田区)での公演を皮切りに始まった朗読劇『百物語』シリーズ。
恐怖をテーマに日本の小説を厳選しており、構成、演出を鴨下信一が手掛けている。

1997

『巷説百物語』

1997年から雑誌『怪』および『怪と幽』にて連載がスタートした京極夏彦による妖怪時代小説。

2000年代

洒落怖(しゃれこわ)

インターネットの匿名掲示板2ちゃんねる(現5ちゃんねる)に『死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?』というスレッドが登場。
スレッド名は後に洒落怖(しゃれこわ)と略されるようになり、『ヤマノケ』『きさらぎ駅』『八尺様』『リゾートバイト』『コトリバコ』などの怪談が若者の間で流行となる。

2020

怪談師の増加

2020年1月に国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認され、外出自粛が叫ばれるようになり、各地でイベント自粛が相次ぐ。
イベント実施がYouTubeLiveやニコニコ動画、ツイキャス配信などに切り替わる中、オンライン配信で怪談を語るユーザーが急増した。

2025

『ばけばけ』

NHK連続テレビ小説『ばけばけ』。松江の没落士族の娘小泉セツを主人公に、夫ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)との怪談を巡る日々を描いた夫婦の物語。

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